いよいよ始まる定額減税
「4万円もらえるんでしょ?」「申請って必要なの?」など、気になっている方もいるのではないでしょうか。
「知らなかった…」と予想外のことが起きないように、自分はどこに該当するのかだけでも知っておけば安心です。
私も給与処理のお仕事に携わっているので、関係者の方に迷惑をかけないように調べてみました。
会社員に役立つ「定額減税制度」についての情報をご紹介します。
結論
・減税のタイミングは人によってちがう。
・所得金額、家族構成、転職の時期が減税のタイミングに関わる。
・減税されたのに、年末調整で清算して徴収されることがある。
・新しい制度なので、会社を信じ切って良いのか心配
・住民税の控除は給与で減税しない。
理由
・定額減税は[月次減税][年調減税]の2種類がある。
・合計所得金額、在籍日、家族構成の対象範囲が年末調整とは違う。
・[月次減税][年調減税]両方が対象になる人もいる。
・実施するのは会社の人事労務や経理担当者
・住民税は市区町村が定額減税後の結果を通知する。
これだけではわかりにくいのでもう少し細かくお伝えしていきます‼
定額減税の概要
対象者 ・所得税の納税者(令和6年分) ・居住者 ・合計所得金額が1,805万円以下 控除額 ・所得税:3万円 ・個人住民税:1万円 実施時期 ・2024年(令和6年)6月1日~ 出典:国税庁 定額減税 特設サイト |
月次減税とは
令和6年6月1日以降に支給される給与や賞与から、所定の額を引ききるまで毎月減税されることです。簡単に言うと、
1ヶ月〜数ヶ月間、給与や賞与から引かれていた所得税分の手取り額が増えます。
減税が開始された際には、給与賞与の明細に「定額減税●●円」と明記することになっています。
※所得税:収入に対して発生する税金。月々概算額から差し引き、年末調整で精算をおこなうもの
尚、6月1日に在籍している人を対象に実施されます。
退職していて6月1日は会社に在籍していない、6月2日以降に転職の予定がある、といった方は月次減税の対象外となります。
※他、雇用されていることや主たる給与の支払いを行う場合など条件はありますが省略しています
年調減税とは
年末調整の際に清算されることです。月次減税が対象外の方や、減税額が残っている場合分はここで減税されます。
・6月1日時点で会社に在籍していない(月次減税対象外)
・年末調整をする際に減税額が残っている(年調減税で清算)
他にも、合計所得金額が1805万円を超える場合や扶養親族の異動があった場合には減税ではなく、清算される方もいます。
減税のタイミング
月次減税、年調減税、どちらの対象になるかでタイミングが決まります。
・月次減税:令和6年6月1日以降に支給される給与や賞与から順次減税
・年調減税:年末調整で減税
月次減税が対象外の方で「6月から手取り額が増えるんだ!!」と思っている場合は注意が必要です。
自分は6月ではなく、年末調整の時に減税されるんだな。と知っておくことで気持ちの準備ができるかと思います。
申請は必要か
会社に提出している「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記入していない扶養親族がいる場合は必要です。
会社は提出されている上記書類をもとに給与や賞与の処理を行います。年末調整や入社のタイミングで提出している書類なので、
見覚えがある方も多いのではないでしょうか。※給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
ただ、この書類だけでは定額減税に係る下記の範囲をすべて把握することができません。
・所得が900万円を超える人で配偶者の所得が48万円以下(記入欄がない)
・記入していない16歳未満の扶養親族がいる(提出後の出生などで変更がある場合)
このために新たな書類が公開されています。※源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書
ご自身が該当する場合は、提出が必要な書類になりますので会社の担当者に確認してみてください。
合計所得金額が1,805万円を超える場合
定額減税の対象外となる一方で、月次減税は実施されます。
年末調整や確定申告の際に、それまでに控除した額の清算を行うことになっていますので、追加徴収される可能性がある点は
注意が必要です。
年末調整との違い(家族構成)
所得税の減税と言われると「年末調整と何が違うの?」と思いますよね。私もそう思いました。
・所得が900万円を超える人で配偶者の所得が48万円以下(同一生計配偶者控除)
定額減税の配偶者に係る控除は、給与所得者本人の所得制限がありません。年末調整では本人の所得制限があるため、配偶者の
控除が受けられない場合も、定額減税の対象になります。
・16歳未満の扶養親族
年末調整では所得控除の対象外となる扶養親族ですが、定額減税は含まれます。ここに該当するご家族がいる場合には、
人数分の定額減税額が増えることになります。
一定期間だけの制度
定額減税は、一定期間の制度で実施するのは会社というのが心配なところ。前例がない制度なので、担当者の知識次第で間違いが発生する可能性があります。「会社だから間違えない」と考えている人もいますが、「知らなかった」という理由で給与や賞与処理を間違えていたという話は少なくないです。私も初めて給与計算や年末調整をした頃は、前任者の対応を信じ切っていて、間違えていました。恥ずかしい話ですが、従業員の方からの指摘で発覚して訂正やお詫びをした経験があります。
それ以来、正式な場所から情報を拾ったり、社労士の先生に相談したりすることで間違いなく対応できるようになりました。
「自分の定額減税額はいくらか」「いつ、いくら減税される」と知っておくだけで
会社に間違いがあれば気づくことができます。
損をしてしまわないよう、参考となる情報になれば嬉しいです。
まとめ
・減税のタイミングは人によってちがう。
・所得金額、家族構成、転職の時期が減税のタイミングに関わる。
→月次減税、年調減税、どちらの対象になるのかを確認しておく。
・減税されたのに、年末調整で清算して徴収されることがある。
→合計所得金額が1,805万円を超える場合や扶養親族の異動があった場合は減税ではなく、清算されることがある。
・新しい制度なので、会社を信じ切って良いのか心配
→「自分の定額減税額はいくらか」「いつ、いくら減税される」と知っておくだけで会社の間違いに気づける。
・住民税の控除は給与で減税しない。
→市区町村が定額減税後の結果を通知するので、減税結果の通知を確認する。
お金に関わることなので、少しでも「分かった」「安心した」と思ってもらえたら嬉しいです。